竹野の暮らしと営みに惹かれて、2020年より『この家で』に取り組んできました。成果発表としてのパフォーマンス・インスタレーション、記録映像の上映・意見交換会を経て、2022年度からはKIACコミュニティプログラムとして3年間継続することとなりました。
2020年のリサーチ時に頂いた一編の投稿文をきっかけに出会った、1977年から2005年まで28巻発行された文集「万年青」には、竹野の方々の日常生活や思い出、行事、災害や戦争での体験まで、数々のお話が綴られています。その「万年青」を手掛かりに竹野町を訪ね歩き、人々の言葉や記憶、風景、音を拾い集めるリサーチを行い、たくさんのお話を聞かせていただき、生き生きと語られる言葉とともに、「万年青」の中の物語がより豊かで色鮮やかな光景として浮かび上がってきました。
初年度の報告会として、20203年3月には、『万年青』の世界と現在竹野に暮らす方々の言葉を編みなおした3編の物語「竹野の嫁入り」「竹野の遊び」「竹野の仕事」を参加者と一緒に読む「みんなでお座敷リーディング」を行いました。
2024年2月には、さらなるリサーチで拾い集めた言葉とともに再構成し、お会いした方々の実際に語る音声と俳優・岸本昌也さんの語りで織りなすパフォーマンスを上演しました。
「万年青」と相交わって3つのお話を紡ぐ情緒あふれる竹野の語り言葉は、今だから触れることのできる掛け替えのないものだと感じています。『この家で』は、竹野の風土とそこに暮らす人々とともに創ってきました。皆さんとタケノ時空間を散歩しながら、作品を通してそれぞれの『この家で』を語り合う機会にもなればと願っています。
会場協力いただいたブラタケノ運営委員会、奥城崎シーサイドホテルさま、快くお話をしてくださったたくさんの方々、いつもお世話になっています各地区コミュニティの方々、イベントに合わせた特設コーナーや、会場での「おでかけとしょかん」で『万年青』や関連本を実際に手に取れる機会をつくってくださった豊岡市立図書館・竹野分館さん、そしてプロジェクト当初から暖かいご支援をしてくださっているすべてのみなさまへ心より感謝いたします。 |